悪性中皮腫について
ぷーやんは2004年9月に「胸膜・腹膜腫瘍」と正式に診断されました。
胸膜・腹膜腫瘍の別名「悪性中皮腫」という病気に関する情報はとっても少ないです。しかし医学はどんどん進歩しています。
ぷーやんはあくまでも一患者であり、ここにかかれてある情報がすべて最新のものとは限りませんのでご了承ください。


腫瘍とは? 中皮腫について 中皮腫の種類
中皮腫の進行度 胸膜腫瘍について 腹膜腫瘍について
治療について ぷーやんの場合









★腫瘍とは?★

人間の体は、一部を除いて常に「細胞」が入れ替わっています。人間の体には、約60兆もの細胞があります。
人間の体は元は精子と卵子が結合した受精卵という一つの細胞から分裂してできています。精子と卵子の中にある遺伝子(生命情報)に基づいて、脳の細胞、肺の細胞、胃の細胞、皮膚の細胞と、各器官に適した細胞を作り上げていきます。
本来そこにあるべきものとは違う細胞がどんどん増えていく病気を「腫瘍」といいます。腫瘍は「良性腫瘍」と「悪性腫瘍」に分けられます。
良性腫瘍は細胞の増殖自体はするのですが増えるスピードは比較的穏やかで、浸潤(周囲に拡がる)や転移(体の他の部位に血液やリンパを通って飛び散る)、悪液質(身体にとって必要な栄養分をがん細胞が横取りしてしまったり、がん細胞から毒性の物質が出されたりすることで、食欲低下、全身倦怠、体重減少などの症状がおこり、身体が衰弱すること。)はありません。
悪性腫瘍には、内臓や皮膚、粘膜などを形成する上皮細胞に発生する「がん」と、それ以外の筋肉、骨、血液などの非上皮細胞にできる「肉腫」の2種類があります。
悪性腫瘍の特徴は、
1.人間の正常な新陳代謝(細胞の入れ替わり)に従わず、正常な組織を破壊して勝手に増殖を続ける。
2.浸潤や転移をする。
3.末期には悪液質(あくえきしつ)が見られる。

良性腫瘍 脂肪腫、筋腫、嚢腫(のうしゅ)、いぼ、ポリープ
がん 咽頭癌、喉頭癌、舌癌、肺癌、乳癌、胃癌、大腸癌、子宮癌、 卵巣癌、肝臓癌、膵臓癌、胆嚢癌、腎臓癌、前立腺癌、甲状腺癌など。
肉腫 骨肉腫、軟骨肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、血管肉腫、繊維肉腫、白血病、悪性リンパ腫、骨髄腫など。

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★中皮腫について★

人間の体をみかんに例えると、オレンジ色の皮の部分が皮膚や筋肉、実の部分が内臓、実をつつんでいる透明色の薄皮が内臓をおおっている「膜」といわれる部分にあたります。
肺の膜を胸膜、肝臓や消化器系の臓器の上をおおっている膜を腹膜、心臓の膜を心膜とそれぞれいいます。
これらの膜の表面をおおっているのが「中皮」で、この中皮から発生した腫瘍を中皮腫といいます。


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★中皮腫の種類★

中皮腫には、その発生部位によって、胸膜中皮腫・腹膜中皮腫・心膜中皮腫などがあります。
その他ごくまれですが、男性の精巣及び精巣上体をおおう鞘膜(精巣鞘膜といいます)にも発生します。
中皮腫にも良性のものと悪性のものとがあります。
良性のものは、すべて限局性です。他の臓器へ転移することはなく、手術による根治が可能です。
悪性のものには限局性(1ヶ所にかたまりを形成するようなもの)とびまん性(広く胸膜や腹膜にそってしみこむように発育するもの)とがあります。
悪性中皮腫の主な原因はアスベストの吸引と言われていますが、原因が分からないことも多いそうです。

良性中皮腫 繊維性
悪性中皮腫
上皮性・・・腺がんなど。比較的予後はよい。                     
肉腫性・・・進行が早く、予後が悪い。                      
混合性・・・上皮性と肉腫性の混合のもの。

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★中皮腫の進行度★

ステージ
進行度
I期 がんは肺や心臓に近接している胸腔表面の膜、または横隔膜や肺にみられます。
II期 がんは胸膜表面の膜を越えて、胸部のリンパ節にまで拡がっています。
III期 がんは胸壁、胸部中央、心臓、横隔膜全層、あるいは腹腔表面の膜まで拡がり、場合によっては付近のリンパ節にまで拡がっています。
IV期 がんは遠隔の臓器や組織にまで拡がっています。

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★胸膜腫瘍について★

胸膜にできた中皮腫のことです。中皮腫の中ではもっとも多く見られる種類です。
良性の限局性のものが多いそうですが、まれにびまん性の悪性のものもあるそうです。
症状は咳が出る、胸の痛み、呼吸困難などです。
レントゲンを撮ると、病変が胸膜外にあるために、陰影の辺縁がなだらかな移行を示し、片方の胸膜に多量の胸水貯留や胸膜の肥厚が見られます。
胸膜腫瘍の予後は正直厳しいです。50%生存率は1年以内、平均余命の中央値は初期の腫瘍は16ヶ月、進行した腫瘍では5ヶ月だそうです。

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★腹膜腫瘍について★

腹膜にできた中皮腫のことです。大部分は悪性だそうです。
症状は、初診時に大部分の患者は腹水(腹膜と内臓の間にたまる水のこと。)がたまっているそうですが、腹部に腫瘤を認めることは比較的少ないようです。
病状の進行は急速で、数ヶ月以内に腸閉塞や悪液質で死に至ることがあります。
診断は、腹腔生検で血性の腹水がみられ、細胞診で大型の悪性細胞が検出されれば確定診断がつきます。

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★治療方法について★

非常にまれな腫瘍のため(一番多い胸膜腫瘍でも、肺がんにくらべると発生頻度は1%以下)、有効な治療法は確立されていませんが、いくつか選択肢があります。

・外科療法・・・手術してがんを摘出する方法です。初期の限局性の中皮腫には有効な方法です。
・放射線療法・・・高用量のX線あるいは他の高エネルギー線を使ってがん細胞を殺す方法です。
・化学療法・・・薬剤を使用してがん細胞を殺す方法です。 口から薬剤を服用する方法や、点滴で薬剤を体に注入する方法があります。

実際はどれか1つというのではなく、いくつかを組み合わせて治療することが多いです。
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★ぷーやんの場合★

ぷーやんの場合は胸膜と腹膜の2ヶ所に腫瘍がみつかりました。腺がん(がんの中でも比較的進行が遅いタイプの腫瘍。)という悪性の腫瘍でした。
腺がんは、主に卵巣がん、胃がん、大腸がんに多いがんです。なので、これらの部位に原発のがんがあるかどうかを検査して、悪性中皮腫かどうか調べる必要がありました。
他の部位から転移してきたものか、中皮腫かどうかを判別するのは専門のお医者さんであっても難しく、中皮腫と診断されるまでかなり時間がかかることが多いそうです。
女性の場合、卵巣がんから胸膜や腹膜に転移する例が多いそうです。
ぷーやんの場合も卵巣がんの腫瘍マーカーであるCA125の数値が高く、最初は卵巣がんを疑われていました。悪性中皮腫と診断されるまで、数ヶ月かかりました。

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